就業規則と賃金規程の作り方講座(書く・直す・届け出る・周知する)

区分3 条文を書く★★

No.07 休暇の条文(年休・特別休暇・育児介護休業規程)

休暇の条文を、年次有給休暇・会社が決める特別休暇・別の規程にする育児介護休業の3つに分けて書く単元です。年休は中身が法律で決まっているので書き写しに近く、迷いやすいのは、自由に決められる特別休暇と、2025年に改正が続いた育児介護休業です。全体としては、さらっと読む回です。
目次
  1. 第0章 前提知識
  2. 第1章 年次有給休暇(23・24条)
  3. 第2章 特別休暇
  4. 第3章 育児・介護休業規程
  5. 確認問題

第0章 前提知識

① 休日・休暇・休業 :似ているが、働く義務の有無が違う

言葉 何のことか 例
休日 もともと働く義務がない日 日曜日、年末年始
休暇 働く義務がある日について、その義務を免除すること 年次有給休暇、慶弔休暇
休業 一定の期間、まとめて働かないこと 育児休業、介護休業

特別休暇とは、法律で義務とされているのではなく、会社が任意に設ける休暇のことです(モデル就業規則の解説)。慶弔休暇や病気休暇がこれにあたります。

休暇は、就業規則に必ず書く事項です(労基法89条)。 モデル就業規則(令和7年12月版。以下「モデル」)は、年次有給休暇のような法定の休暇だけでなく、会社が設けている休暇も、必ず定めるよう求めています。

② 規則に書く3つのまとまり

この単元では、休暇の条文を次の3つに分けて考えます。

使用者とは、労働者を使う側(会社・経営者)のことです。規程とは、就業規則の一部になる別の決まりのことです(No.01)。

第1章 年次有給休暇(23・24条)

① 付与日数の書き方 必ず覚える

年次有給休暇(年休)は、6か月継続して働き、全労働日の8割以上出勤した人に、10日を与えます(労基法39条)。 その後は1年ごとに日数が増えます。

勤続 6か月 1年6か月 2年6か月 3年6か月 4年6か月 5年6か月 6年6か月以上
日数 10 11 12 14 16 18 20

週の所定労働時間が30時間未満で、週の所定労働日数が4日以下(年間216日以下)の人には、別の表を使います(労基則24条の3)。 これが比例付与(出勤する日数が少ない人に、日数に比例させて与える方法)の表です。

週の日数(年間の日数) 6か月 1年6か月 2年6か月 3年6か月 4年6か月 5年6か月 6年6か月以上
週4日(169〜216日) 7 8 9 10 12 13 15
週3日(121〜168日) 5 6 6 8 9 10 11
週2日(73〜120日) 3 4 4 5 6 6 7
週1日(48〜72日) 1 2 2 2 3 3 3

モデルは、この2つの表を、そのまま規則に載せる型です。みどり訪問介護でも、2つの表を条文に入れます。

登録ヘルパーのように、勤務表で日が決まる人は、週の所定労働日数が読みにくくなります。 通達(厚生労働省が労基署などに出す、法律の解釈や運用を示した文書。平成16年8月27日 基発第0827001号)は、基準日の時点で予定されている今後1年間の所定労働日数で見るのが原則だとしています。 予定を出しにくい時は、基準日の直前の実績を考えてよいとされています。 たとえば6か月後の付与なら、過去6か月の労働日数を2倍にして、「1年間の所定労働日数」とみなしてかまいません。

また、契約が1か月ごとの更新でも、実質的に6か月以上続いていれば、年休は与えます(同じ通達)。

第23条 採用日から6か月間継続勤務し、所定労働日の8割以上出勤した労働者に対しては、10日の年次有給休暇を与える。その後1年間継続勤務するごとに、別表2の日数の年次有給休暇を与える。

2 登録ヘルパーの所定労働日数は、付与日(基準日)に予定されている今後1年間の勤務表上の日数で判断する。予定が分からない時は、直前6か月の労働日数の実績を2倍にした日数とする。

年休の「継続勤務」は、在籍期間のことで、実態で判断します。パートから正社員への切り替えなど、実質的に労働関係が続いているなら通算します(モデル23条の解説)。 No.05で書いた試用期間の通算(6条4項)と同じ考え方です。

② 請求・会社の指定・出勤とみなす期間 さらっと

年休は、労働者が請求した時季に与えるのが原則です。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、会社が他の時季に変えられます(労基法39条5項)。

年10日以上を付与した人には、基準日から1年以内に、そのうち5日を、会社が時季を指定して取らせます(労基法39条7項)。本人が請求して取った日は、この5日から引けます。指定する時は、本人の意見を聴きます。

出勤率を数える時は、年休を取った期間、産前産後の休業、育児・介護休業、業務上のけがや病気で休んだ期間を、出勤したものとして扱います(モデル23条6項)。

3 年次有給休暇は、労働者があらかじめ請求する時季に取得させる。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、他の時季に取得させることがある。

4 年10日以上の年次有給休暇が与えられた労働者に対しては、付与日から1年以内に、そのうち5日について、会社が本人の意見を聴いたうえで時季を指定して取得させる。ただし、本人が自ら取得した日数分は、5日から除く。

③ 時間単位年休・計画的付与・年休の賃金 深追いしない

時間単位の年休は、労使協定(会社と、労働者の過半数を代表する人が書面で結ぶ約束)を結べば、年5日の範囲で認められます。 計画的付与も、労使協定が要ります。 どちらも、使わない会社なら、規則に書かなくて構いません。使うなら、協定の作り方はNo.15で扱います。

一つだけ、規則に必ず決めて書くことがあります。年休を取った日の賃金を、次のどれで払うかです(労基法39条9項)。

賃金規程の書き方と合わせて決めます(No.10)。管理簿の作り方は、労務講座のNo.08で扱いました。

第2章 特別休暇

① 法律の休暇と、会社の休暇 さらっと

法律で決まっている休暇は、規則に書いておきます。 産前産後の休業(モデル25条)、母性健康管理の措置(26条)、育児時間と生理休暇(27条)が、これにあたります。

一方、慶弔休暇・病気休暇・不妊治療休暇(29〜31条)は、労基法上、必ず定めるものではありません。 ただし、裁判員や候補者になった場合の時間と、選挙運動の期間中の時間は、労基法7条により、請求されたら拒めません。モデル32条の解説は、制度として導入することが求められるとしています。

② 自社の特別休暇を書く 必ず覚える

会社が設ける特別休暇には、次の3点を必ず決めて書きます。

書いた休暇は、会社の約束になります。 有給と書けば払う義務が生じるので、会社として払える形を先に決めます。

対象者は、正社員だけにするか、登録ヘルパーにも広げるかを決めます。差を付ける時は、理由を説明できる形にします(No.04)。 なお、不妊治療のための休暇は、性別や雇用形態にかかわらず取れる形にするよう、モデルが求めています(29条の解説)。

みどり訪問介護の慶弔休暇の例です。日数は、みどり訪問介護が決めた値の例です。

第○条 労働者が申請した場合は、次のとおり慶弔休暇を与える。

① 本人が結婚したとき 5日

② 配偶者、子又は父母が死亡したとき 5日

③ 兄弟姉妹、祖父母、配偶者の父母が死亡したとき 3日

2 慶弔休暇は無給とする。

ここは法律の決まりではなく、実務のすすめです。 特別休暇の条文は、1つ目の休暇だけ丁寧に書き、あとは同じ型で増やすと、抜けが出にくくなります。

第3章 育児・介護休業規程

① 別の規程にする型 さらっと

モデル28条は、本体には「育児・介護休業等の取扱いについては、別に定める規則で定める」とだけ書き、中身は別の規程にする型です。 別の規程も就業規則の一部になるので、作る時も変える時も、労基署への届出が要ります(厚労省の規定例の解説)。

規程の中身は、厚労省の「育児・介護休業等に関する規則の規定例」を土台にします。詳細版(令和8年3月作成)と簡易版(令和6年11月作成)があり、Word版もあります。

第28条 労働者のうち必要のある者は、育児・介護休業法に基づく育児休業、介護休業、子の看護等休暇、介護休暇等(以下「育児・介護休業等」という。)の適用を受けることができる。

2 育児・介護休業等の取扱いについては、「育児・介護休業等に関する規則」で定める。

② 2025年の改正を落とさない さらっと

規定例は、2025年4月と10月の改正に合わせて作られています。規則が2025年より前のままなら、次の点を直します。

施行 主な内容
2025年4月 子の看護休暇が「子の看護等休暇」になる(対象は小学校第3学年修了まで。事由に学級閉鎖等・入園式・卒園式を追加)。労使協定で除外できる「継続雇用6か月未満」の人が廃止される(介護休暇も同じ)
2025年4月 所定外労働の制限(残業免除)の対象が、小学校就学前の子まで広がる
2025年4月 介護離職の防止として、介護に直面した人への個別の周知と意向確認、早い段階での情報提供などが加わる
2025年10月 3歳から小学校就学前の子を育てる人向けに、始業時刻等の変更・テレワーク・養育両立支援休暇・短時間勤務などの5つの中から、2つ以上を選んで講じる

10月の措置は、選ぶ時に、過半数組合(労働者の過半数で作る労働組合)または過半数代表者(労働者の過半数を代表する人)の意見を聴く機会を設けます。 過半数代表者の選び方はNo.14で扱います。

規則に書く内容として、厚労省の冊子は、休業・休暇の付与要件・手続・期間と、休業中の賃金の有無を挙げています。働かなかった期間を、働かなかったものとして扱う(無給・日割りで引く)ことは不利益取扱いではありません。ただし、働かなかった期間を超えて不利に扱うと法違反です。

この法律は改正が続いているので、規程を作る日の直前に、厚労省の規定例のページで最新版かを確かめます。

○ よくある勘違い①:登録ヘルパーはパートだから、年休はない → 比例付与の表で日数が決まる。契約が1か月ごとの更新でも付与する(第1章①)
○ よくある勘違い②:特別休暇は、法律で日数が決まっている → 慶弔・病気などは会社が決める。決めたら、有給か無給かも書く(第2章②)
○ 関係する単元:No.01(規程も就業規則の一部)/No.04(正社員と登録ヘルパーの差)/No.10(休暇中の賃金)/No.15(届出)

年休は、通常の表と比例付与の表を条文に入れ、登録ヘルパーは予定の日数か直前6か月の実績の2倍で判断する。特別休暇は、日数・有給か無給か・対象者を決めて書く。育児介護休業は、本体に委任の条を置き、別の規程は厚労省の規定例から作る。

自社の規則づくりシートに書くこと
・欄①(直す条文と新旧対照):23条(年休)と、自社の特別休暇の条を、今の条文と並べて新旧対照の行にする
・欄②(試用期間と人ごとの契約の一覧):登録ヘルパーの年休日数を、予定の日数か実績の2倍かで決めて書く
・欄③(賃金規程の条文):年休の賃金を3つのどれで払うか。特別休暇が有給か無給か
・欄④(意見書・届出・周知の段取り):育児・介護休業等に関する規則も届出の対象に入れる
・欄⑤(社労士に聞くこと):育児・介護休業の2025年改正を反映済みか

確認問題

問1 登録ヘルパーのAさんは、雇入れから6か月がたちました。直前6か月の労働日数の実績は42日で、今後の予定日数は出しにくい状況です。通達の考え方で、付与する年休の日数は?

問2 みどり訪問介護は、育児・介護休業等の取扱いを、就業規則本体とは別の「育児・介護休業等に関する規則」にまとめました。扱いとして正しいのは?

問3 みどり訪問介護が、慶弔休暇を新しく設けます。条文に書くこととして、本文で言い切っているのは?

出典:労働基準法39条・89条・7条(https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049)/労働基準法施行規則24条の3(https://laws.e-gov.go.jp/law/322M40000100023)/厚生労働省 モデル就業規則(令和7年12月版)23〜32条・43条と解説(https://www.mhlw.go.jp/content/001620507.pdf)/「訪問介護労働者の法定労働条件の確保について」平成16年8月27日基発第0827001号(https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb5448&dataType=1&pageNo=1)/厚生労働省「育児・介護休業等に関する規則の規定例」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/000103533.html)と「就業規則における取扱い」(https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/001662495.pdf)・改正のポイント(https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/001662493.pdf)。確認日 2026-11-04。労基法は2026年7月17日施行の版、労基則は2026年4月1日施行の版で確認。みどり訪問介護株式会社は架空の会社で、条文と日数は例です。